龍神の雨 道尾秀介

 皆さん大好きなのにいまいち私はノレてない作家、道尾君...。

 とても実力のある人で、最近では初期の頃の様な粗も減り、常に一定レ
ベル以上のものを書いていて、安心して読める作家さんです。しかしどう
も毎回何かしら「イラッ」と来たり「それは違う!」と思ったり私にとっ
ての大幅減点ポイントがあるので、作品の評価は「どれだけ減点ポイント
が少ないか」になって来ています。あそこが良かった♪ここも良かった♪
と加点するノリでは読めないのですよね...。

 そういった意味で、今回は今までの中で一番減点ポイントがなく楽しく
読めました。カラスより断然上。ラットと並ぶ位かもしれません。たぶん
どれか一冊人に勧めるとしたらこれかな。

 それでもやはり、毎度同じ事を思ってしまいます。私はこの人の「重い
テーマを軽く扱う」ことに大きな抵抗を感じます。「重いテーマ、難しい
内容を易しく書く」だったら良いのですよ。それは良い事です。でも軽く
「扱って」は欲しくないのです。なんか、性的虐待とか身体的障害等のデ
リケートな内容を風景描写かの如く「さらら〜ん」と書き、通過してしま
う感じに毎回ひっかかります。今回は翔子の描き方の中途半端さが気にな
りました。なんでこんなしんどい事柄をさらっとネタ的に数行で済ませる
の。あの人がこういう人だって言う事を知らしめるエピソードとして必要
なのはわかるけれど中途半端で不愉快だよ。それならいっそ割愛しても良
かったのでは、と思った...。です...。

 星3.7個。

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