庵堂三兄弟の聖職 真藤順丈

 タイトルと表紙に惹かれて借りて来たら日本ホラー小説大賞受賞作品で
すって。わー、ホラーかー。キツかったら途中でやめよう。

 そんな気持ちで読み始めましたが、全然恐くありませんでした。ていう
か、これ、ホラー?そもそもホラーの定義ってなんだ?グロ描写があれば
ホラー?恐さがなくても?うーん、ホラーに詳しくない私にはよく解りま
せん。まあ、恐いっちゃー正太郎の仕事への傾倒っぷりもある意味恐いし
汚言症タケミの暴走も恐いけれど、ホラー的な恐さとは違うしなあ。

 では、これがホラーでなければ何なのか、と言いますと。男子三兄弟の
ハートウオーミングな再生の物語。ちょっとちがうか。でも、どちらかと
言えばそういう部類です。この三兄弟が、別に好きだと思う要素もないの
ですが、決して嫌いになれない。キャラクタの魅力というものは本当に凄
いです。多少の欠点や粗など覆い隠して読者を最後まで引っぱります。本
書も彼等に最後まで読まされました。

 星3個。