花窗玻璃(はなまどはり) シャガールの黙示 深水黎一郎

 期待の芸術探偵三作目です。

 読了時の感想としては、はあ、成る程。という地味なもので、今回小粒
かも、と思いました。が、何か自分が読み落としている様な気がして某巨
掲示板やら書評サイトなど辿って情報を補完しました。聖書とか美術と
か、ある程度の素地がないとわからん、というかピンと来ないネタです。
読み手を選ぶなあ。

 カタカナ語を使わないという試みは努力賞の域を出ておらず、あまり効
いているとは思えません。まほろ以来のメフィスト読者には別に目新しく
もないし、それによって重厚さが増してもおらずあまり気にもならずにス
ルーっとしてしまいました。

 で、どうやらこれは私がシャガールの花窗玻璃(ステンドグラス)を頭
の中に描けていないのが面白さがわからない原因だな、と気付いてぐぐっ
て画像を探しました。(一応表紙に写真はあるけれど小さくて良くわから
ないのよ)

 ほうううううううううう〜〜〜〜〜!!!!!

 きたきた!ピンときた!クラクラする!なんだ!この青!(大興奮)

 残念ながらこの花窗玻璃(ステンドグラス)の凄さが文章からはあまり
伝わって来ませんでした。もともとの文体に華やかさもない人だしなあ。
壮大な芸術に触れた時の目眩、酩酊感。こういった部分は皆川さんや竹本
さんの筆で読みたいところ。


 ランスの大聖堂の花窗玻璃(ステンドグラス)。これ現物観たい!絶対
観たい!!シャガールって小品しか知らなかった頃は何が良いのかサッパ
リわからなかったけれど、大きい作品は凄まじい目眩感があって大好きで
す。その凄さに、ガラスなので光が加わるわけで、これは必見だ。旅行マ
メじゃない自分が滅多に行かない海外旅行をするならば行った事の無い土
地に行きたいから、一度行っているフランスに再度行く機会は当分ないで
しょ、と思っていたけれど、俄然フランスに行きたくなりました。

 結果としてシャガールのこの作品の凄さを教えてくれたことも含めての
評価で大満足しました。ミステリは好きだけど美術に興味なし、という人
にはあまりおすすめしません。両方好きな人は是非シャガールの花窗玻璃
(ステンドグラス)画像をネットで見ながら読んでみて下さい!現物を観
た後に再読したいよ、これ。

 星4個。