身代わり 西澤保彦

 お待ちかね、タック&タカチシリーズの最新巻。時系列としては問題作
「依存」の直後のお話ということで、あんな事件の後、彼等がどうしてい
るのかは気になる所。その後出た短編集で社会人になったタカチが安槻を
離れて暮らしていることが明かされてはいましたが、そこへ至るまでどう
いう経緯だったのかそのあたりに注目しつつ、という状況だった訳です。
はい、おさらい修了。

 面白いなあ、と思ったのが上記の様なシリーズ通しての彼等の物語より
も事件と謎解きに対する比重が非常に高かった事。これが西澤さんのこだ
わりなのかな。シリーズものって作を重ねる毎に事件の背後にある登場人
物達の物語が動き始めてしまって、ミステリの形をとっていながら事件の
比重が軽くなっていっちゃうものも多いのです。それゆえ西澤さんの「ミ
ステリ、まず事件ありき」という姿勢がいいなあ〜!と思いました。

 前作「依存」の依存は誰が誰に依存しているのか、という話をどこかで
見た記憶があるのですが、本書を読んでタカチに支えられているタック、
というよりはタカチが「自分がタックを支えているのだという満足感」に
依存している印象を受けました。タックよりタカチの方が断然危うく見え
た。

 相変わらずボアン先輩、呑んでます。朝っぱらから。このシリーズ読ん
でると自分の酒量なんかまだまだ大した事ないな!って気が大きくなって
いつもより多めに呑んでしまうので危険。しかも、今わたし「このシリー
ズ呑んでると」って打ち間違いましたよ。爆

 星3.8個。