贖罪 湊かなえ

 タイミング良く一挙に回って来たので期せずして湊かなえウィークとな
りました。デビュー3作目は想像していたよりもずっと良かったです。

 「少女」で失敗したので「告白」形式に戻したのかな。一章毎にそれぞ
れの関係者達が語ってゆくという「告白」に良く似たスタイル。「フラン
ス人形」の章は単独で短編としても充分読めるレベルで面白かったです。

 最終章を読んでびっくり。これいらないだろ!なんでここで綺麗に纏め
ようとする必要があるのか解らない。もしかしたら過去作品で「後味が悪
い」という感想を持った人が多かったので後味を良くしようとしたのか?
それは大きな間違いだよ〜!あの「後味の悪さ」こそがこの人の魅力だっ
たのに。

 重要なあの人の語りが一番最後に来ているために、真相が取って付けた
様。これが語り手順繰り交代形式ではなく普通の小説仕立てであれば序盤
から伏線として、この人の過去を小出しにしてゆき、最後に収束、という
形に出来るのですよね。やはりこの「一人ずつの語り」方式を脱却出来る
か否かが今後のキーだと思います。