初恋ソムリエ 初野晴

 若者がケータイ恋愛小説と間違えて買うのを狙ったのか?というタイト
ルと装丁。いい大人がレジや図書館カウンターに持って行くのは若干恥ず
かしい。いや、この作家さんは新進気鋭のミステリ作家で、と思わず誰も
聞いていない言い訳をしたくなります。

 ぎゃーーーー!初野さん!どうした!表題作、一番知りたかったことが
書かれてないぞう!「ぼくには想像がつかないです」と探偵役に語らせて
終わり!そこは読者の想像にゆだねたらあかんところや!きっちり説明し
とかんと!トリックがあって、それを読者に納得させるところまでが作家
さんのお仕事なのであって、全部語ったら野暮な結末を読者に想像させる
のとはわけが違う。復習の動機、復習に至った経緯は端折ったらいかん。
と非常に残念な所で減点。

 上記理由により表題作がこの短編集内ベスト作品になり損ねたので、一
番面白かったのは席替えの謎です。それがなくても成り立つ謎に大河原先
生の秘密というプラスアルファをしたことで読みごたえがアップしていて
良かったと思います。

 他の2編はまあまあ。ちょっと印象薄かったかな。草壁先生の登場が少
ないので、そもそものチカとハルタがライバルであるという設定が生きて
ないのも惜しい。

 星3.6個。