造花の蜜 連城三紀彦

 手が込んでる〜!重層的な事件の構成が楽しめました。

 恥ずかしながら初読の連城さん。自分の中では何故か渡辺淳一とイメー
ジがダブっていて、恋愛物を書くおじさん、という印象でした。本書もタ
イトルと表紙を見ただけではメロドラマ系に見え、師匠の所で知らなかっ
たらたぶんずっと未読のままだった作家さんです。幻影城出身だったとは
驚き。

 第一の事件の真相解明の部分は盛り上がりました。うおおお!そうか!
と。ある人の出自が解明時まで出て来ないので、こんなん解るか!系では
あるのだけれど、とても楽しい驚きでした。第一の事件が良く出来ていて
満足したため、第二の事件が若干だるい、というか、早く次の本を読みた
い気分で、この本長いな、あと何ページで終わるかな、とカウントしなが
ら先を急いでしまいましたが、それは贅沢な不満というものでしょう。

 星3.8個。