M.G.H. 楽園の鏡像 三雲岳斗

 森博嗣へのラブレターかと思いました。

 この人は森博嗣が大好きなんだなあ、というのがひしひし伝わって来る
作品。孤島に相当する宇宙ステーション、四季に相当する朱鷺任博士、犀
川と萌絵をミックスした様な主人公。作品タイトル、章タイトルに英語版
がついているのも、無重力空間での墜落死体という不可能へのアプローチ
も(残念ながら解決までもが)とっても森的。これだけ読んでいたら「森
博嗣の影響から脱却出来るかどうかが今後のポイント」等と言ってしまい
そう。もちろん既にその後の作品を読んでいて、それは杞憂だとわかって
いるので言いませんが。

 無重力空間という設定を生かした鮮血で出来た水玉がいくつも浮いてい
る、という情景が印象的。印象的な死体発見シーンを描けるということは
ミステリ作家としてとても重要。

 第一の殺人方法はあまり意外性はなかったけれど、第二の殺人について
はなるほどなー、と思いました。面白かったです。

 星3.7個。