十一月は天使が舞い降りた見立て殺人 霧舎巧

 仲間うちではゆきあやさんと私しか読んでいない?寂しいシリーズ。霧
舎さんだし、どれもそこそこ面白いんですけどねえ。全部読めばひととお
りミステリの基本がおさらいできる親切シリーズ、十一月は見立て殺人で
す。

 何が驚いたって自分の忘れっぷりにびっくりよ。色々と過去作の出来事
や登場人物を振り返りながら進むんだけど、覚えてない覚えてない。保っ
ちゃん入院してるの?十月怪我したんだっけ?

 見立て殺人と言って思い浮かぶのはマザーグースなのですが、さすがに
和製ミステリ、日本の童話で攻めて来ました。しかもセレクトが渋い。

 あかずの扉シリーズの後動と鳴海になぞらえて、学園にいる棚彦(と琴
葉)サイドと病院にいる保(とのの子)サイドの二本立てで物語が進行す
る構成が好きです。十一月に中込さんちの病院を舞台にするために、前作
で保は怪我をさせられたのですね。表紙の軽いイメージを裏切って、そう
いう点でとてもしっかり作ってあるんですよ、このシリーズ。

 星3.7個。