後悔と真実の色 貫井徳郎

 最近の貫井さんはなんかパワー持ってかれるなあ。この後味はどうなん
だ。

 ミステリ百戦錬磨の皆様はどうやら犯人を見破っている模様。私は、何
も考えずにボケーっと読んでいた(というか「総統の子ら」の余韻が強す
ぎて心はまだドイツにいた)ので普通に「どひゃっ!」と驚いて、楽しめ
てしまいました。笑

 犯人には驚いたけれど、ストーリーはもう少し救いがあっても邪魔には
ならないのでは。救いのなさを効果的に魅せるなら馳星周位イッちゃって
くれないと読んでいてただ疲れるだけなんだよなあ。なまじ筆力があって
感情移入出来ちゃうだけにものすごくしんどい。

 確かに年間100冊以上ミステリを読む様な人には物足りない真相かもし
れませんが、この本を手に取った人の中でそういう人の割合ってそれほど
高くはないと思います。通勤通学のおともにミステリをちょこっと楽しむ
多くのライト本読みさんには、本書はとても良く出来た犯人当て小説では
ないでしょうか。ぐぐると簡単すぎる、という感想が一杯出て来て来てし
まうのですが、そもそも読書メーターやブログ、アマゾンに感想を書く人
というのはヘビーな本読みさんが多いと思うのですよ。層の厚い一般読者
の感想ってあまり掬い上げられないのではないかと思う。と、犯人を当て
られなかった私が言い訳じみた弁護をしてみる。

 星3.6個。