ナイチンゲールの沈黙 海堂尊

 だんだん面白くなくなるという評判を聞いていたし、「螺鈿迷宮」が今
一つだったため、全く期待していなかったのですがとても面白かった!あ、
これ2作目か。まだまだこのあたりは大丈夫なのですね。(失礼)

 歌というものの持つ力、目の病気を抱えた少年、逆転検事に出て来た様
な「紙芝居」システム。テーマも周辺の事象も面白い。一作目より文章は
読み易くなているし、田口、白鳥、猫田、藤原、おなじみの面々も絶好調
な活躍っぷり。

 ただ、どうしても気になったのが、アレ。犯人がアレを遂行出来たとい
うことにリアリティがない。やっぱり犯人にとってアレは相当敷居が高い
行為で、やろうと思っても、仮にやりかけたとしても、絶対最後までは出
来ないと思うのですが...。

 アレ以外の部分では満足しました。現時点ではだんだんネタ切れ気味に
なってきているのかもしれないし、文章も決して巧くないけれど、基本的
にはドラマチックかつ面白いものが書ける人だという印象。「黄金地球儀」
はバグだったのか...?
 
 星3.7個。