八日目の蝉 角田光代

 普段読書日記と料理記事をバランス良く書く様にしているのですが、最
近読書ばっかりです。寒くて毎晩鍋ものなので書くことないのよ。

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 こんなにしっかりしたものを書く人だったのか、と驚きました。

 積極的に読もうとしなくても雑誌やフリーペーパー、新聞等にエッセイ
が載っているので知らないうちに結構読んでいる人、角田さん。だから本
を読んだ事はないけれど、彼女が肉好きなことや、携帯を一括で買いたい
と店頭でゴネたこと、良い万年筆を何か月か待ちで買ったこと等色々知っ
ている。自分は恋愛していないと駄目な体質、という様なことを以前言っ
ていたので小説も恋愛物なんだろうな、と全く今まで食指が動きませんで
した。

 筆致は淡々としていて、過剰な装飾や描写もないけれど、ちゃんと夏は
暑いし海辺の街には潮の匂いがする。逃避行モノなのだけれど、ドキドキ
スリルではなくどこかふわふわした印象なのが不思議。最初は登場人物が
皆おろかに見えて、どっちもどっち、と思っているのだけれど、ページが
進むうちにきちんと主人公は読者の心を掴んで、がっちりラストまで離し
ませんよ。

 星3.8個。