暁天の星 鬼籍通覧 椹野道流

 あ、伊月が新人だ。どうやら本書が法医学者ミチルシリーズの初作の様
です。シリーズのプロローグ的な掌編から長編へと繋がって行きます。

 もう慣れました!笑。ミステリではない、と心づもりをして読めば大丈
夫です。法医学オカルト。面白かった。死体というものは、傷というもの
は、色々語るのですね。知識と経験と、閃きと想像力から真相に近付いて
ゆくミチル達。初作からしっかりとキャラクタは魅力があり、彼等の会話
も面白く飽きさせません。

 腹部轢断か失血死か出血性ショックかと死因を迷う伊月に「素直に『轢
死』って書いてええんや」という教授の言葉が印象的。多くの働く人達が
思い当たる所があるのではないか。そうそう。新人さんって目の前の事象
にズームインしすぎてそういう風に詰まるのよね。ほんのちょっとのズー
ムアウトが出来ることが新人と先輩の違いだよね。これはどんな分野でも
共通なのだなあ。

 相変わらず魅力的な飲食シーン。○○を食べた、と描かれるだけでその
味の描写はされないのだけれど、何故か彼等の食べているものは美味しそ
うなんだよなあ。不思議。

 星3.7個。