ジェネラル・ルージュの凱旋 海堂尊

 『ナイチンゲールの沈黙』と同時期のお話の様です。中盤までそれを理
解していなかったので「この人また入院してきたのかあ」と思っていまし
た。(アホすぎ)

 予算とクオリティのバランスというのは多かれ少なかれ全ての職種で直
面する普遍的な問題でしょう。ただ、これが人の命が関わる医療の現場で
あるから難しい。医師と業者の癒着やドクター・ヘリ導入問題、興味深く
良いテーマだと思いました。

 で、面白かったのだけれど、問題はルージュです。速水がルージュを塗
る(引く、という言い方も私は苦手)ことに対する違和感。不快感。不要
感。作者はこだわった重要なシーンなのだろうと思いますが。そしてルー
ジュの描写も、真っ赤な、とか新色がナントカパープルとか、昭和かよ!
と。男性作家は作中に化粧品を登場させる際はせめてボーチェかマキアの
一冊位は資料として読んで欲しい。洋服と同じで流行が移り変わるものな
ので下手するとホント変なことになると思います。今時真っ赤なルージュ
と言われて、所持している若い女性は少ないと思われ。(まさかこれ、昭
和の話だったりはしないよね?)

 星3.6個。