傷跡 矢口敦子

 「償い」系と早見江堂系との中間的なノリの一冊でした。

 「償い」系だと思って油断して読んでいたら、結構「ぎょへ〜っ」とい
う部分があり楽しめちゃいました。やっぱりこの人、ちょっとやらかした
い願望がある人なのでは。

 あの人の父が重要な役割を果たしている割に登場が少ないのが不思議。
もっとこの父を描いたら、得体の知れない登場人物の怖さ、という点でも
吸引力が増したと思う。

 でも、償いよりずっと満足しました。真面目にバランス良く感動させる
破綻のないミステリよりも、あいたた!やっちゃったかな、位の作品が好
きだわ〜、私は。

 星3.8個。