あれから 矢口敦子

 早見江堂からという反則な入り方をしましたが、中の人、矢口敦子も気
に入ってます。

 面白くて読み易くて一気に読めました。面白かったけれど、都合良すぎ
でしょうか。現在と過去でなぜかみーんなうまいこと繋がってる。笹本が
主役二人とここまで密接に関わることが偶然で片付けるには厳しいか。世
界は10人の村じゃあない。それって偶然?必然?で、その答えは「いいの
よ、小説なんだから」って感じ。アンチ小説な人って小説のこういう部分
を嫌うんだと思う。

 以下結末に触れますので未読の方はこれ以降読まないで下さい。

 星3.5個。























 最後に千幸が思いとどまったアレ、いっちゃった方が私の好みでした。
それがもともと希望の持てる物語ならばいいのだけれど、不愉快な物語な
ら不愉快な物語としてのプライドを持って後味の悪さという荷物も背負っ
て欲しいなー...。

 ただ、この「唐突にラストで付け足される希望と救い」ってものは作者
の意向ではなく編集側からの要請により付け足されている場合もあるので
はないか、という想像も働くのでそのこと自体で点数を上げたり下げたり
はしていません。