にわか大根 猿若町捕物帳 近藤史恵

 表題作「にわか大根」が素晴らしい!哀しい事件のやるせない空気は文
学的ですらあり、近藤さんの底力を感じます。ラストの巴之丞の台詞にシ
ビレました。上手いこと言うよ~~~!!この人は~~~!

 今作のゲストはお駒さんの従姉妹のおふくちゃん。近藤さんが若い女
の瑞々しい揺れる気持ちを上手く描いてくれました!読んでいておふくの
真意がいまいちつかめずイラっとするのだけれど、きっと本人も自分の気
持ちのブレに戸惑っているのよね。

 どのお話も、レギュラーメンバー女形役者巴之丞や絵師国克が上手く
ストーリーにからんできて良く出来ています。レギュラーだから出しまし
た、ではなく役者や絵師という職業が物語の展開上必要なのです。

 ラストの「片陰」はちょっと動機に無理があったかな。こういう気持ち
になることは理解出来るけれど、それが殺人を犯すほどに煮詰まることに
は不自然さを感じたというか、いまひとつピンときませんでした。

 もちろん梅が枝姐さんは今回もイイよ!ふふっ。梅が枝と千陰がどうな
るのか、とっても今後が楽しみだ。^^

 星3.8個。

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