ジーン・ワルツ 海堂尊

 理恵さん過激やわ。海堂さんじゃなくて久坂部さんを読んでいると錯覚
する様なアグレッシブな内容。面白かったので一気読みしちゃったけれど、
読んでいてとても疲れました。

 理恵の行動の過激さは、この問題を社会問題と捉えればこそ行き過ぎと
感じるけれど、彼女の人生の問題と捉えれば理解できなくもない。フィク
ションとして誇張されているという前提はあるけれど。女には、タイムリ
ミットがあるのだ。そして理恵は想定より早くタイムリミットを迎えるこ
とになってしまった。たまたま自分の欲望を叶える環境も能力も整ってい
た。彼女の過激さにはちゃんと裏付けとなるエピソードや設定があるので
無茶にも納得出来るのです。

 中盤以降のハラハラなあぶなっかしい展開に、一時はどうなることかと
思ったけれど、このラストと読後感はとても良かった。理恵と清川の主役
二人こそそれほど感情移入出来なかったものの、青井ユミ、茉莉亜先生、
妙高助産師の脇役勢が皆とても良い味わい。

 星3.8個。

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