乱れからくり 泡坂妻夫

 「11枚のとらんぷ」では洒落た手品蘊蓄で魅せてくれた泡坂さん。本書
玩具メーカー一族が舞台なのでからくり玩具蘊蓄がたっぷり楽しめます。
自分の想像力が追いつかないからくりもあり、実際のブツを見てみたい、
と思いました。

 男言葉で喋る肥った女探偵役と助手の元フライ級ボクサー(事件関係者
の女性によろめくのがお約束)の凸凹コンビはミステリ界の、いや、小説
漫画、様々な創作界での定石とさえ言える良い組み合わせ。コンビは凸凹
させとけば間違いない。

 連続殺人のトリックが丁寧です。迷路の機構も面白い。一つ一つのネタ
が緻密に詰めてあるというか、書き飛ばしていないというか。ワープロ
ざんざか多作っちゃう平成の作家には書けないテンポなんだよね。手書き
時代のミステリ、いいなあ。後をひく。もっと読みたい泡坂さん。

 最後の最後まで隕石は何かのトリックだと思ってたんですが、これマジ
隕石でガチっすか...。なんだよ。笑。


 星4個。