最上階ペンタグラム 南園律

 何の期待もしないで読んだためかなかなか面白かったです。が、カバー
折り返しにある「着せ替え探偵」という惹句はちと言い過ぎか。表紙でも
主人公らしきキャラがナースコスプレしてるし、もっと色々な制服職業に
乗り込んでゆくのかと思ったら、そうでもなかったよー。


 コンサルティング会社の企業犯罪潜入捜査官である主人公。何故か毎度
潜入先で事件が起こるという(笑)、な状況。軽めのオフィス連作ミステ
リかと思わせてきっちり毎回殺人事件が起こるのが良かったです。

 続編を書くという設定であえて本作に書かなかったのか、それともそこ
まで描けなかったのか。斐然と渡月に関して情報不足で消化不良感高し。
単なる脇役であるはずの上司土田の方がよっぽど力入れて描かれてる。渡
月についてもっと描かれていれば最終話の真相に唐突感もなかっただろう
になあ。

 続編前提であるならば山口芳宏氏がデビュー作でやらかした位の、とま
ではいわないけれど最終話で続編を匂わせる位のことはしても良かったの
では。このまま続編が出なかったら肝心の二人よりも土田の方がずっと印
象に残ってしまうじゃないの、と心配になってしまったじゃないの。

 
 星3.6個。