本格ミステリ館焼失 早見江堂

 いつもシリーズものを順不同で読んでしまう私。過去それで失敗も多い
けれど、本シリーズは逆にそれが功を奏したかもしれません。シリーズ初
作の本書も何も知らずに読めば地雷でも、そういうものと心づもりをして
読めば「ぎゃはー!そうだった!このシリーズはこういう系なんだよ!う
ける~~!」となるわけです。

 かなりぶっとんでます。特に終盤の問題発言には驚いた。ミステリの大
前提を根本からひっくり返そうとしたのか、問題提起か、ちまたにあふれ
るどっかで見た様な定型を脱却していないミステリへのアンチテーゼか。

 矢口敦子という人は相当鼻息が荒い人なのではないか。ある程度の著作
知名度もありながらそこに留まらず、というか矢口敦子という枠が息苦
しくなってきたのか、別名義でこんな弾を放ってくるとは。面白い人だと
思いました。早見江堂はこの三部作で終わりなのかな。もっと書いて欲し
いです。

 星3.7個。