湘南ランナーズ・ハイ 倉阪鬼一郎

 著者近影がマラソン大会で走っている写真なので、本気ランナーである
ことは想像に難くない倉阪さん。私も最近ノロノロ走り始めた初心者ジョ
ガーなので、大会初出場レベルの市民ランナーをテーマにした本書はとて
も楽しく読めました。

 大会へ向けての、そして当日の走行中の感情はさすが走っている人の筆。
リアルで面白い。1キロを6分で走ることと7分で走る事の違いを体感でわ
かっている位の人が読むととても染みると思います。

 そしてもちろんミステリ界の風雲児、仕掛けもあります。序盤からなん
か変だな、と思う部分なので勘の良い人は読めてしまうネタかもしれない
けれど、たとえ先が読めてもいい。だって感動しちゃったんだもん。終盤
怒濤のタネ明かしには若干自分と重なる部分もあり、うるうるホロリとき
てしまいました。

 バリバリ本格が好きなミステリ派よりも初心者ジョガーにお勧め。走る
ことに興味があってかつミステリも好き、っていう人にはとてもお勧め。


 星3.6個。


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