愛が理由 矢口敦子

 39歳の女性主人公が謎の死をとげた友人の真実を究明する、ここまではい
い。真相も面白かった。けれど肝心の謎解きにノレませんでした。

 謎解きの相方に女と見紛う美貌の男子高校生を配しちゃうってのがなあ。
それをなくしたら矢口文学じゃないのかもしれないけれど、この組み合わせ
に退く人が多いのも事実だろう。オバチャンに美しい青年カップルは男性作
家や女性でももっと若い人が書けばいいのかもしれないけれど(書かないと
思うけど)本物のおばちゃんが書くと、作者の願望入ってる?と邪推してし
まうため、ちと寒い。難しいネタなんだよぅ。美麗な文体で現実離れした人
が書けばまだしも、矢口さんは普通の現代小説文体なので生々しい。なんか
ついて来られる人だけついて来てくれればいいのよっ!という同人誌っぽい
ノリを感じてしまいました。まだせめて相手が20代の青年であれば違和感な
く受け入れられたと思うのですが。


 星3個。


https://book.blogmura.com/bookreview/img/bookreview88_31_lightblue_3.gif