この国。 石持浅海

 しんどい後味ではありますが、嫌いじゃないです。夏に読んだアンソロ
ジーの中の一遍が収録されている元本です。

 石持作品は登場人物の価値観について行けずに退いてしまうことが多々
あるので、一党独裁の管理国家という架空の国を舞台に設定したことは正
解だと思いました。これなら多少納得いかない価値観で物語が進んでも
「まあ、こういう国なんだから」と自分を納得させることが出来るし...。

 と思ったのに!こういう設定のものに限って割と普通に理解出来る価値
観で動く登場人物だった!なんでやねん!本書ならあんな人やこんな人が
出て来てもさらりとかわしながら読めると思ったのにぃ!

 キャラに気持ちをそわせる事が出来ないというのが定説の石持作品です
が、本書の番匠はなかなか興味を持てる人物でした。もうすこしこの登場
人物でこの国の物語を読んでみたかったと思えました。

 というわけで、面白いけどまともといえばまとも、石持作品読んだら感
想でギャンギャン吠えたい私には若干物足りないという一冊でした。

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 ちなみに明日も石持感想の予定です。明日は...、吠えるか?