隻眼の少女 麻耶雄嵩

 久々の麻耶節になかなか慣れなくて随分読むのに時間がかかってしまっ
たけれど、やっぱり面白かった。ああ~、そうだったそうだった。これぞ
麻耶イズム、っていう感じ。寡作なので忘れかけてた感触でした。

 私は麻耶さんのこの思い切りの良さというか容赦のなさが好きなんだな
あ。他の作家さんだったら大事にしそうなものをズバっと斬り捨ててしま
うところ。これが伏線だったのかよ!とのけぞったあのネタも堪能。その
割に一気読みする程には熱くなれなかったのは少女にメル程思い入れられ
なかったからか。

 今まで寡作な人より多作な人の方が大変だと思っていたけれど、今回寡
作って厳しいなと思いました。待ってる間に期待が高まっちゃうんだよね。
一時期の森博嗣なんかは一冊二冊微妙な出来があってもスルー出来たけど
麻耶さんのこのペースだと駄作許すまじ!と身構えてしまう。本書ももう
すこし早く適度な間隔で出ていたらするするっと一気に読んでノレたのか
もしれない。

 星3.9個。