ジークフリートの剣 深水黎一郎

 深水さんがまたやってくれたよ~~~!!!!

 講談社から出るオペラもの?だったら前作同様ノベルスで出した方が
揃っていいのに、と思いましたが敢えてわざわざハードカバーで出した
作者と出版社の思いはラストできっちり伝わって来ました。

 ミステリとしての出来がどうこういうよりはこの一冊がオペラの様。
終幕すべてが繋がって腑に落ちた瞬間のカタルシスがとても舞台的で震
えました。音の振動が伝わって来た様な気がした。このラストにノベル
スや文庫の軽さは合わない。電子書籍も違う。持ち重りのする紙の本が
良いのだ。

 主人公のオペラ歌手から視点を動かさずにいるため別の場所で行われ
ているシリーズ探偵の謎解きは物語の蚊帳の外。唐突に解決される感は
否めない。でもここで解決に至る道筋を描いたらオペラは分断されてラ
ストまでの盛り上がりを削ぐと思うのでやはりこれは謎解きミステリと
いうよりミステリチックなオペラ小説なのでしょう。

 佳子はもうちっと活躍するかと思ったが...、中途半端だったかな?

 星4個。