虫とりのうた 赤星香一郎

 スルッと読めて面白かったです。第41回メフィスト賞受賞。ホラー風味
の都市伝説もの。

 面白かったけれど惜しい。読みやすさが凶と出た珍しい例。スルスル読
めちゃって怖いシーンもつるつる通過するので怖さ半減。ホラーというの
は読者が怖いシーンで立ち止まるひっかかりを仕掛けるのが大切なのだと
痛感しました。三津田さんなんか読みづらい読みづらいと文句言いながら
読んでるけれど、文章のペースもゆっくりで、あちこちでぎしぎし立ち止
まりながら読むから怖いのだと思いました。そうするとあの読みにくさは
読者が読むペースのコントロールの一環だったのか??

 主人公の奥さんも昔の恋人も、ものすごく嫌な女性に描かれている。赤
星さん、なにか女性で苦い経験が?と余計な邪推をしてしまいました。

 星3.6個。