殉教カテリナ車輪 飛鳥部勝則

 某所で古野まほろ竹本健治ファンの方が好きな作品として挙げていた本書。
きっとそれなら私も好きな筈、と思って読んでみました。鮎川哲也賞受賞作品で
す。

 す、すごい。な、なんといいますか、全然初々しさがなくてデビュー作だと言
われても本当に?と聞き返してしまいそう。いきなりの図版にむむむ、ときまし
た。折原さんの『石田黙』系かあ。絵からインスパイアされたのねと思って読ん
でいたのですが、どうやらこの絵は飛鳥部さんの筆らしいです。ひえ~!飛鳥部
さんは画家でもあるのか!びっくり!かなり本格的です。

 すっかり絵の謎解きに心を奪われていましたが、もちろんこの時点で既に飛鳥
部ミステリの色もあり、密室トリックも、あの仕掛けもとても楽しめました。私
は飛鳥部作品は読むのに時間がかかることが多いのですが、本作はとても読み易
くて二日で読めたのも良かった。デビュー作でこれか。非凡の才だな。

 星3.9個。