群衆リドル Yの悲劇’93 古野まほろ

 おおお、アクが弱い!

 随分天帝シリーズや探偵小説シリーズと比べると読み易いぞ。今まで自分は
とても古野作品好きだけれどどうにもこうにも人には勧めにくくってよう、っ
ていう残念な思いでしたがこれはいけるんじゃないか?ブラックべる子女史も
出なかったしね。

 アクが弱まったからコテコテのまほリストには物足りないかというと決して
そうではなく、これでもかと詰め込まれた本格ファン垂涎のアイテムとありえ
ねー!と突っ込みたい展開、探偵役の魅力、あ、これ行っちゃう?という密室
トリックと読みどころは沢山。まほろ作品の良さはあの文体や仕掛け装飾等の
外側だけではないコアとなる部分があるんだよね。既存シリーズも読んでいれ
ば、ふふふっとほくそ笑む部分がある、けれど読んでいなくても支障がない。
そのさじ加減も良し。

 探偵がどうやって真相に気付いたかという点にきちんと納得のゆく理由付け
があるのがすごくいい。結構唐突に気付く探偵って多いからね。まほろ節堪能
しました!^^

 星3.8個。