想い雲 みをつくし料理帖 高田郁

 鱧だよ、鱧!鱧喰いてぇなぁ~~~!!!

 またしてもシリーズものを途中から読む適当さを発揮。ですが本シリーズは漫
画版を読んでいるので人物相関図は把握しています。茶碗蒸しとか金柑の蜜煮と
か漫画で少し前に読んだ料理が過去のこととして台詞の中に出て来るので現在連
載中の漫画の先、続きに当たる様です。

 ご寮さんにこういう事情があったとは知らなんだ。(漫画も全部は読んでいな
いので)登場人物全員が生き生きと描かれていて、つる家の周辺で起こる物語の
中で皆ちゃんとリアルに息をしている。主役の澪だけではなく、ご寮さん、ふき
ちゃん、登場人物達全員が幸せになって欲しいと心から思います。本作は私のお
気に入りのキャラ、又次の出番が多くて嬉しい。

 気になるつる家の存亡、澪と野江は、ご寮さんと佐兵衛は会えるのか、物語が
面白く飽きさせない展開だし人物も魅力的、それだけで充分売れる小説としての
条件を持っているのに本書は更に私の萌えポイント「料理描写が旨そう」ってい
う点まで兼ね備えています。こりゃもう無敵ぞな。料理も美味しそうだけれど食
べている人達の表情の描写がこれまた良い。味醂干し、里芋の旨煮、卯の花、う
なぎ、読んでいる間のどがゴクリゴクリと鳴りっぱなし。これを読んだ日の晩ご
はんは和食で決まり。燗酒つけてね!日本に生まれてヨカッター!てなもんだ。

 星4個。