八朔の雪 みをつくし料理帖 高田郁

 この物語は良い男が一杯出て来るね~!頼れる源斉先生、いつも窮地を脱する
きっかけとなる一言を与えてくれる小松原さま、言葉数は少ないけれどあたたか
い人柄がにじみ出ている伊佐三も、花魁あさひ太夫に仕える又次も誰のファンに
なったら良いのか迷う位みんな素敵。と思ったら作者は女性漫画誌で原作者とし
てこの世界に入った人なんだって。良い男が山盛りで出て来るのも道理だ。

 主人公は克服してもしてもやってくる困難に立ち向かう少女澪なんだけど、澪
の周囲で彼女を見守り手助けする大人達が皆素敵すぎて泣かせる。上記の男達だ
けではなく、一番近くで澪を見守るご寮さん、つる家の主、おりょう、みんな暖
かい。心が折れそうになった時に読んで暖まることが出来る物語。人生辛いこと
ばっかりじゃないよ!というメッセージがきちんと読者に届きます。このシリー
ズ文句つけるところないわー。

 勿論料理も抜群に美味しそう。戻り鰹のはてなの飯も心太も酒粕汁も、たまり
ません。読んでいて出汁を引いたり胡麻を炒ったりしたくなる。心太って東と西
でかけるものが違うだけかと思っていたけれど心太自体も違うのね。

 それにしても登龍楼ムカつくね!(感情移入しすぎ)

 星4.1個。