龍の館の秘密 谷原秋桜子

 これ、舞台は京都にする必要があったんだろか。京都に行ったいきさつが強引
だった。何もそんなに無理して京都に行かなくても...。

 毎回おかしなバイトをすることになる美波。今度のバイトは托鉢。た、托鉢っ
て、バイト?なんじゃそりゃ!なんでもアリなんだなー。なんでもアリのはちゃ
めちゃが効いていれば良いのだけれど、何も京都じゃなくっても、とか何も托鉢
でなくてもね、って思わせてしまうということはやはり物語として弱いのだと思
います。トリックや犯人、動機は良かったんだけどね。本筋の周辺の道具立ての
部分で狙いすぎて空回りしてる感あり。惜しい。

 同時収録の短編が展開が軽快でなかなかの良作。笑ってしまった。この人短編
の方が良いのかな。表題作は長編だぞう!と力んで空回ってしまったのかも。

 星3.6個。