聖女の救済 東野圭吾

 図書館サイトで「貸し出しの多い本」を見ると、上位20作中9作がひがぴょん
なんですよ。この多さ、尋常じゃない。

 人気の秘密はやはり面白さと読み易さ、そして掴みの早さでしょう。本書も2
ページ目から登場人物達の会話は本題に入り、5ページ目で犯行の決意表明、22
ページ目で事件発覚警察登場、中盤で重役登場する湯川以外のキャラもほぼこ
の時点で出そろいます。

 アナログな時代には、夕食後のくつろぎタイムにある程度纏まった時間を取っ
て読書する人も多かったと推測するのですが、今やその時間帯はテレビ、DVD、
ネット、ゲーム等に取って変わられた。現代人の読書は通勤時やちょっとした待
ち時間等のコマ切れの時間の積み重ねになるケースが多い。そんな時に一冊の半
分位まで来ないと本題が動き出さない物語なんて、なかなか読んでられないのよ
ねえ。ひがぴょん人気も納得ですよ。

 前置きが長くなりましたが『聖女の救済』。私の記憶が確かならば『流星の絆
のドラマ化が盛り上がっている時に新刊として刊行されたため、当時本屋が東野
フィーバーだった、そんな一冊。サラッと読めちゃうんだけど軽くはない、読み
応えがあって満足度が高いところもポイントですね。

 さすがの目のつけどころで面白かった。しかしこのトリックはリスキーだな。
本当にこんなことが可能なのだろうか。それと草薙と内海、どっちかで良くね?
舞台が一つの所から動かないので刑事は草薙一人でも充分。でもシリーズものだ
から主要キャラは出しておかないとね、ってところかな。

 星3.8個。