開かせていただき光栄です 皆川博子

皆川さんだんだんと若返ってないか?
毎年自分的ランキング一位を独占してしまうので昨年から別枠評価とした皆川大
先生。新刊もやってくれました。参ったよー、もう!

舞台は18世紀のロンドン。外科医ダニエルの解剖教室で暖炉の奥から見つかった
謎の屍体。個性豊かな少年達に密室、監禁、盲目の治安判事とその目となる女助
手。皆川ファンなら垂涎のモチーフが満載。濃密に絡み合う因果の輪と謎解きは
読み応え十分で大満足。

でも本書で何より驚いたのは犯人やトリックではなく皆川さんの筆の瑞々しい軽
やかさでした。

過去の作品は『薔薇密室』でも『総統の子ら』でも『冬の旅人』でも、古くささ
こそないもののその濃密さと重厚さの陰に、これはある程度のご年配の方が物さ
れた文章だな、という若干枯れた印象はあったのです。それが今回どこにも見当
たらない。濃密で重厚で嘆美なのに瑞々しく軽やか。それらは決して両立し得な
い概念ではなかったのだという衝撃!そして読み終えた時に感じる皆川さんの余
力。まだまだこんなもんじゃないわよ、と皆川さんがニヤリと笑っていそうな閉
じ方。これが自分の親より年上の人の書いたものだなんて、おいら開いた口がし
ばらくふさがらんかったよ。たまげたよ。皆川さんは怪人だよ。それか皆川さん
の背中にはチャックがついていて開けたら中からもっと若い人が出て来るんじゃ
ないか?

星5個。

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