花園の迷宮 山崎洋子

三津田信三「幽女の如き怨むもの」が面白くて、その書評、感想をあちこち見て
回っているときに何人かの人が同じ遊郭を舞台としたミステリとしてあげていた
本書。物語に入り込み易くてぐいぐい最後まで読ませてくれました。

黒幕が誰かは察しがつくものの、クライマックスは少女ふみの窮地に心底ドキド
キして手に汗握りました。ふみちゃんー！うしろー！うしろー！あぶないー！と
叫びたかった。

乱歩賞受賞作品だしミステリとしても勿論とても面白いのですが、私が本書で一
番いいな、と思うのが少女ふみの強さ。これ、男性作家では書けないリアルな女
性の強さだと思う。決して男勝りとかそういう不自然な形ではなくて、実は女の
子って男が思ってるより強いんだぜ！という少女像。こういう作品でこの結末で
この時代が舞台で、なのにこの清々しさ。あっぱれです。

星4個。

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