家守 歌野晶午

 家にまつわる短編が五つおさめられています。京極堂的特厚系派
な私ですがたまにはこういうさくさく読める長さのものも良いです
ね。古臭い世界が好きなので「人形師の家で」と「鄙」が好みでし
たが、その他の作品も面白かったです。「転居先不明」は恐かった。
こういうの何て言うんでしたっけ?未必の故意?ちょっと違うか。

 密室トリックがあるから「家」が必要という理由もあるけれど、
事件の当事者の死後も残る「家」。そこに生まれるドラマ。ミステ
リや小説に昔から「家」は欠かせないアイテムです。特に目新しい
トリックもないけど五編ともバラエティに富んでいて面白かったか
らまあいいか。大傑作!っていう程のものでもないけどあんまりけ
なし所も無い。良くも悪くもそこそこな一冊。

星2.5。