ふたりのシンデレラ 鯨統一郎

 読みやすいし親切設計です。伏線はわりと「はーい。注目。ここ
は重要なヒントですよー。」とでも言わんばかりに大っぴらに書か
れているし、孤島で事件は起きるけれど孤島臭を最前面に押し出し
てもいないのでミステリマニアじゃなくても入って行きやすいつく
りになっています。

 「おいおい、そりゃないだろう!」とつっこみたい部分は多々あ
れど、ミステリずれした読者をミスリードする罠も仕掛けてあるし、
きちんとミステリの基本とポイントは押さえていると思いました。

 冒頭に記されている「私は犯人でもあり探偵でもあり、」ってい
うのも最後にちゃんと「うんうん。本当だ。確かにね。」と納得出
来る。良く出来てるんですよねー。でもやっぱり「おいおい、そりゃ
ないだろう!」と言いたくなってしまう。本当に良く出来ていると
思うんだけど...。

 星3つ。