安達ヶ原の鬼密室 歌野晶午

 読了直後は、ナノレンジャーの話と堂園別荘のエピソードは別に
なくても良いような気がしましたが、しばらく経ったらやっぱり必
要なのかな、と思えて来ました。鬼屋敷の物語だけでも充分一冊に
なりそうだけど、それだけでは終わらない歌野晶午。普通には済ま
せられない、という意気込みが感じられます。

 鬼屋敷の謎が解けた時点でかなり自分としては終わった感があり、
気も抜けてたのでその後の「五つ数えろ!」はちょっとびっくりし
ました。全部読み終わってから「あれも、これも、それも、伏線だっ
たんだ〜!」と納得。

 メインのトリック自体は、慣れてる人なら図面見ただけでうすう
すとは解るかも。だからそんな人達のために安達ヶ原のお話にプラ
スしてこの仕掛けがあるのかな?一番最初に鬼屋敷のトリックの発
想があったのではないかと思いますが、そこに至るまでの動機、と
いうか理由付けが巧いと思いました。

 星3つ。