演じられた白い夜 近藤史恵

 ずば抜けた目新しいトリックがなければ、ミステリでこの短さは
難しい。結局のところひとりひとりの登場人物を描いていないので
誰が殺されようが、誰が犯人であろうが、痛くもかゆくもないので
す。ミステリは犯人当てが主たる目的な以上、ある程度の数の登場
人物が必要なのでその分どうしても長さも必要になってくるんです
よね。
 
 劇団モノなので作中劇が出てくるも、哀しいかな、本書を読む直
前に黒田研二の「硝子細工のマトリョーシカ」を読んでしまっため、
こちらの構成はなんとも物足りない。この軽さ、短さが著者の持ち
味なのだけれど、難しいですねえ。

 星1.5。「散りしかたみに」は短くても冴えててすごく面白かっ
たのになあ。ばらつきがある人なのか。