新ニューヨークネイバーズ 中尊寺ゆつこ

 中尊寺ゆつこが気になり出したのはほんのここ1〜2年位のこと
です。オヤジギャルの時代には「自分とは違うジャンルに属する
作品」って思っていて全然食指が動かなかったので。

 毎号買っている雑誌「Frau」に連載されていたこの作品。著者
が「第二の故郷」と呼んでいるNYに家族でロングステイして描い
た生きたNY。初回から引き込まれ、いつしか「Frau」で一番愉
しみなページになり、気に入った回は雑誌を捨てる際に切って保
存していました。ファッション、グルメ、住宅事情など割合普通
の話題で始まりますが、坂本龍一ロッキー青木と会ったり、段
々セレブな展開に。そして最後の方ではジョージア州立大学で講
演したり、カーター元大統領に謁見したり!なんてエネルギッシュ
な人なのでしょう!ものすごく努力家なんだけどその努力を表に
は見せない人だったのかな。それか努力することも楽しめる人だっ
たのか。

 派手なエピソードに目を奪われがちですが、この作品の根底に
あるのは、こまやかな観察眼とテンポの良い語り口や優れた色彩
感覚などの表現力。「ソトコト」の連載も毎号分量は少なかった
けどとっても面白かった。本当に惜しい人を亡くしました。もっ
と長生きしていっぱい描いて欲しかったです。

 自分が落ち込んでたりへこんでて喝を入れたい時に読み返した
い。そんな一冊。がんばって稼いでNY行かにゃ〜!って気にな
ります。

 星5つ。