名前探しの放課後 辻村深月

 わ、びっくりした。

 講談社が今一番ミステリ系でプッシュしている若手、深月女史。

 細かい細かい伏線が意外な展開とともにどんどん回収されていく終盤数
十ページはとても面白かったです。

 しかし、しかし、そこに至るまでが長い〜。イマイチ盛り上がりに欠け
る中盤が進まなくて進まなくて図書館で借りたのを二回も延長してようや
くの読了。(間に何冊も他のものに浮気しつつ)

 過去作品(特にスロウハイツ)で作者と作品世界の距離の近さ、登場人
物への思い入れと自己投影の鬱陶しさにぐったりしてしまいましたが、今
作は程よく距離があって作者が冷静に外側から物語を見ている感があり、
非常に良かったと思います。

 大人になると口にするのが照れくさくなる様な青春テーマに真っ向から
いつも取り組む辻村深月。このままこの路線で攻めるのか、大人をテーマ
にした作品にもチャレンジしてゆくのか、今後の展開が気になる作家さん
です。

 星3.7個。