鏡の迷宮、白い蝶 谷原秋桜子

ちょっとちょっとちょっと!いい!良かった!やっぱり谷原さんは短編が良い
ぞ!

おなじみアルバイト探偵美波シリーズ。スピンアウト的短編集の本書は美波の
友人のかのこや直海が大活躍します。水島のじいちゃんも出て来るよ^^

谷原さんは和の文化に造形が深いんだね。だから直海が元深川芸者の孫という
設定なんだ。今までは陰を潜めていた谷原さんの落語大好き!着物大好き!とい
う気持ちがほとばしり出た良作。かのこや直海も長編主人公の美波より生き生き
してる。必ず登場する料理の描写もよだれが出そうな旨そうっぷり。とにかく谷
原さんの筆がノッてる!という印象。直海のばあちゃんや水島のじいちゃん、年
寄り達も魅力的。若者ばっかり出て来る小説より素敵な年寄りが出て来る小説は
面白い。

それぞれの謎解きも本格。トリックにおどろき、さりげなくかつきっちり印象
に残る伏線に感心し。おまけに切なさや哀しさあふれる叙情的な展開にもうなる。
谷原さん、なんでいきなりこんなに化けたんだろ。

と大満足して太田忠司さんの解説を読んで膝を打ちました。そうか!本シリー
ズはもともとラノベレーベルで出されていて、途中から創元推理文庫へお引っ越
ししたのだ。ラノベ時代はおそらく制約が多かったんだね。落語ネタ書きたいで
す→落語なんでティーンに人気ないから駄目!恋愛がらみにして下さい!的な編
集とのやりとりがありありと想像出来る。その編集さん、傑作を逃して勿体ない
ことしたね。というか谷原さんがそもそもラノベ枠に収まっていられる人ではな
かったのだと納得。

星4.1個。

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