聖女の島 皆川博子

 夏だ!祭りだ!って花火やわたあめではなく、皆川祭開催中だそうで。

 うおおおおぅ...。こういうの、久々。決して恐いとか気持ち悪いとかで
はないのだけど、背筋にぞぞぞわ〜っときました。ブルルッ..。

 嘆美で退廃的で幻惑的。孤島に設営された罪を犯した少女の矯正施設。
つじつまの合わない話をとうとうと捲し立てるイッちゃってる園長、いま
いちチームワークの悪そうな職員達、この施設に、物語に対してどんな役
割を担っているのか謎の多い修道女。

 これはスゴイ。竹本健治が、山口雅也が、莫大なページ数かけて描き出
そうとした目眩感をたったこれだけのページ数でサクっとやっちゃった。
すぐ読める分量だけど、入り込んだ作品世界は螺旋階段の様にぐるぐるぐ
るぐる果てしない。とっても後ひきました。もっと、もっと読みたい。こ
の人の厚いのが読みたい。そんなことになる予感がしたのでちゃんと他の
作品も確保済みです。 

 読んでいて恩田陸を連想しました。(やたらとお茶会やってるし。)復
刻版には恩田さんが解説を寄せているとか。影響を受けておられるのです
ね。

 星3.8個。(この著者は他にもっと好きそうな作品があるので差をつけ
るため点を低めに設定しました。)
 
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