女王国の城 有栖川有栖

 いやあ、厚い!長い!重くて持ち歩けないのでなっかなか終わりません
でした。予約がつかえていて延長もできないので頑張って読みましたよ。

 15年ぶりのシリーズ最新作ということでファンサービス色が濃いです。
メンバーがそれこそ歌舞伎の白波五人男の渡り台詞なみに満遍なくしゃべ
るし活躍もする。それでこの長さになっちゃったんだなあ。

 前作「双頭の悪魔」は山奥の芸術家コミュニティからマリアが帰って来
ない、という物語でしたが今回宗教団体の施設に行ったきり連絡が取れな
いのはは我らが江神先輩(もう名前は間違わないぜ)。前作と鏡に映した
線対称の様な設定にエガミストとしてはウキウキワクワクです。

 事件を起こした理由や方法、過去の事件との関わり、宗教施設の状況、
どれも綺麗に納得のゆく形で収束。破綻がなくて丁寧でちゃんとしてる。
面白かったです。ミステリ部分の纏め方もキャラ読み読者へのファンサー
ビスも職人有栖川の面目躍如と言ったところ。

 ただその有栖川氏がこの空白の15年で培ってきた職人技が物語の勢い
や魅力を削いでいたことも確か。あまり活躍しないメンバーがいたり、多
少トリックに「ありえん!」「なんでやねん!」という突っ込みどころが
あったりした方が活き活きとした魅力ある作品になった様な気がしてしま
う。絵でも音楽でも小説でも、バランスって少し崩した方が吸引力が増す
と思うのだ。

 星3.9個。

 出来れば次はこんなに間を開けずに出して欲しいです。だってあと15
年経ったら私いくつよ?ひえ〜〜〜。考えたくない〜〜〜。