タルト・タタンの夢 近藤史恵 【しら菊の猫でもわかるミステリ用語解説付き】

 近藤史恵は短編の人だな~。

 堪能しました。出て来る料理の数々がどれも美味しそうで私の嗜好のツ
ボをつき、物語を彩ります。子供の頃の愛読書に「大どろぼうホッツエン
プロッツ」というドイツのお話があるのですが、それもどこが好きだった
かって、食べ物描写が美味しそうな所が好きだったのです。プラムケーキ
にやられ、ザワークラウトに憧れ、やきソーセージに身悶え。

 本書では甘味に喉をゴクリと鳴らし、肉でお腹がグ~と鳴り、フロマー
ジュまで出て来た日にゃあ正気ではいられません。食いしん坊史恵の筆は
ノリノリ!!やっぱり小説には旨そうな食べ物が出て来んと!つーかダイ
エットなんか止めだ!!止め!!!ムハー!(しら菊崩壊)

 サムライシェフや俳句好きのソムリエール等登場人物も魅力的。一話一
話小さな謎があって、真相が解明すると、微笑ましい気持ちになったり、
しんみり切なくなったり、じんわり余韻を残す掌編が次々と繰り出されま
す。勿体なくてゆっくり読みたかったのに一気に読んじゃいました。

 これはお掃除キリコちゃんと肩を並べる名短編集ですよ!今晩はワイン
に決まりだな~。切らしてるから買いに行こう。

 星4個。

しら菊の今日は全然ミステリじゃない用語解説
・ザワークラウト
ドイツでソーセージの付け合わせとして供される、また煮込み料理に入れ
たりもする酸っぱい(ザワー)キャベツ(クラウト)。キャベツの酢漬け
と認識している人が多く、事実そう訳されているケースもよく見るが、正
確には乳酸発酵したキャベツの塩漬けである。

時々サワークラウトという表記を見かけるが、ドイツ語なのでザワーと濁
るのが正解。