読書日記

最悪のはじまりは、 塔山 郁

中途半端かなあ。 面白くないわけではないし挫折させずに最後まで読ませる水準だけどそれ以上の ものはありませんでした。 人も死ぬけど、たぶん作者が描きたいのは殺人事件ではないんですよね。ギャン ブル依存症主人公の転落物語なのですが、それにしては…

たまさか人形堂物語 津原泰水

おおおー!これも当たりだった!津原さん面白い! 祖父から生前贈与された人形店を切り盛りするアラフォー女性の主人公。修理に持 ち込まれた不自然な壊され方をした人形の物語やチェコの劇団の不思議な人形劇、 文楽の人形の謎から物語はたまさか人形堂の職…

絶海ジェイル 古野まほろ

今回感想を書いてみたらこの作品の感想というより古野まほろ好き好き言ってる だけの文章になってしまいました。一体どんな作品なのかちっとも伝わらないの でBookデータベースよりあらすじを引用します。 先の大戦中、赤化華族の疑いをかけられ、獄死したは…

葬式組曲 天祢涼

デビュー作の『キョウカンカク』があまりにも鮮烈で、こういうタイプの作品で デビューした人って一作で消えるかもしくはデビュー作を超えられないで苦戦し たりするんじゃないかな、って思いましたが杞憂でしたね~! 葬儀という文化が廃れて、死後は火葬す…

VS 矢口敦子

あー、これは…。 登場人物がみんな変だ。木綿子も絹恵もどっちも妙。なんだか色々あちこちに無 理がある。 でもね、矢口敦子だけ読んでるとそこが難点に思えてしまうのかもしれないけれ ど、別名儀である早見江堂作品も読んでいると、矢口さんはその『妙』な…

小夜しぐれ 高田郁

美緒ちゃん…。 なんだか美緒ちゃんが読者を追いて一人で大人になってしまった様な心持ちがし て、とても寂しい。主人公澪の物語は淡々とゆっくりゆっくり進んでいて、それ はそれで目が離せないのだけれど、美緒や種市、ご寮さんなど周囲の人達の物語 でここ…

和菓子のアン 坂木司

デビュー作こそひきこもり探偵の物語だったものの、その後は歯医者さんや沖 縄のホテル、宅配便屋さんなど働く現場をテーマにした作品の多い坂木さん。 今回の舞台はデパ地下の和菓子屋さんです。 和菓子の来歴や和菓子を買いに来るお客さんにからめた謎解き…

ロマンス 柳広司

ほんとうに柳さんにははずれがないです。 目次をぱらっと見て読むことを即断。昭和八年って小説の舞台としてとても好き な時代。 主人公はロシアの没落貴族の娘を祖母に持つ華族の清涁。色白の肌に朱色の唇が なまめかしい清涁と、清涁の友人で世間では野暮…

覇王の死 二階堂蘭子の帰還 二階堂黎人

蘭子...w そうきたか...w 外界から閉ざされた眞塊村、旧家、ニューホーリー村の惨劇、雰囲気満点で面白 かった。謎解きに関しては、蘭子の推理を読んでも「ふーん、なるほど」と思う だけで、自分の推理が及ばなかった事を悔しく思うタイプのものではないの…

爛れた闇の帝国 飴村行

飴村行の初粘膜外作品。 普通だったらこれでも充分濃い世界なのかもしれないけれど、粘膜を読んだ後だ とうっすらさっぱりに感じてしまう。 物語はある高校生とその周辺の人々の現代パートと、監禁されている男の記憶を 取り戻す物語の戦時中パートの二本柱…

蜜蜂のデザート 拓未司

禁断のパンダが面白かったので他の作品も、と読んでみたものの、それほどノレ ずに途中で飽きちゃったりで感想を書くに至らなかった拓未さん。これならどう だと読んでみたビストロ・コウタシリーズ第二弾の本書は安定の出来で面白かっ たです。 幸太の息子…

粘膜戦士 飴村行

お待ちかねの粘膜シリーズ第四弾。 天才飴村との出会いは『粘膜蜥蜴』でした。蜥蜴にはミステリ的な落としがあっ たのでそこに大変満足したのです。が、結局トリックや謎があろうとなかろうと 自分は粘膜世界のファンであって、ナムールで、ただそこに爬虫人…

人間の尊厳と八〇〇メートル 深水黎一郎

ごめんなさい。デビュー作のウルチモ・トルッコ読んだ時は一発で終わりそうだ なって思ってました。私が間違ってましたごめんなさいごめんなさい。 最近ではすっかりと「新刊はどれも間違いなく面白い」作家さんランクに私の中 で昇格した深水さん。何が好き…

東尋坊マジック 二階堂黎人

このトリックこの犯人が考えつくかね~?? トリック自体はとても面白かったのですが、これだけの奸計をめぐらせることの 出来る人物像に犯人が描かれていないのが難点。 マジックとタイトルにつくのでサトルは社会人です。彼は学生だろうが旅行会社 の社員…

悪の教典 貴志祐介

図書館で上下一気に借りちゃって、二週間で読めるかな、と心配しましたが最初 の土日で一冊、次の土日で一冊さくっとよめました。 校内を徘徊する殺人鬼から生徒達はのがれることが出来るのか。全滅か誰か生き 残れるのか、ハラハラドキドキ。ページをめくる…

攪乱者 石持浅海

おもしろかった! これこれ!石持さんはこういうのがいいよ! イッちゃってる人達がイッちゃってる理論で自画自賛しながらイッちゃってる指 令に向かって突っ走る。最後もなんかメーター振り切った感があっていいわー。 まわりくどい会話も読者にちっとも伝…

奇面館の殺人 綾辻行人

先に読了された方々の感想を読むとそれほど皆さんテンションが高くないなー。 綾辻行人の館シリーズの新刊。これを読まないミステリブロガーはいないのでは と思われる現代日本ミステリ界の基本のキ。 今回舞台となるのはお面コレクターの館。漠然と仮面舞踏…

製鉄天使 桜庭一樹

伏ー贋作里見八犬伝ーがとても面白く久々の桜庭文体が心地よかったので続けて 読んでみました。赤朽葉のスピンオフ。主人公の小豆ちゃんが赤朽葉の誰かの子 供なのかと思ったらどうもそういうものでもないらしい。赤朽葉のパラレルワー ルドなのかな? 製鉄…

さよならファントム 黒田研二

久々のくろけん新刊!面白かった!(興奮気味) ミステリも沢山読んでいると耐性が出来てちょっとやそっとのトリックでは驚け なくなります。ああ、またコレ系か。というのがとても多い。大抵のものはミス テリからミステリを学んでミステリを書いたという既…

第四の男 石崎幸二

お仲間さんの中でもべるさんと私以外誰も追いかけていないのではないかと思 われる石崎さん。今までなかなか言えなかったけど今作ではそろそろ言ってい い頃合いか、と思いました。 初期に読んでもういいや、とそれっきりの方々。ここらあたりで復帰してみて…

伏 贋作・里見八犬伝 桜庭一樹

何を読んでも集中出来ず挫折続きだった一月。何か薄くて読み易そうなものを、 と物色していたのに何故か目に留まったぶ厚い本書。厚いし里見八犬伝自体良く 知らないしなー、と迷いましたがピンと来た時が読み時!とトライしました。 面白かった! やっぱり…

光媒の花 道尾秀介

ああー、良かった。これは良かったです。どうも皆さんが褒めている割に自分は ノレなくて新刊が出ても暫くスルーしていた道尾秀介。読み易くてちょっとした 空き時間にも入って行ける間口の広さがありながら読了時にはしっかりと何かが 心に残る。私が放置し…

男爵最後の事件 太田忠司

新宿少年探偵団や阿南、藤森涼子、甘栗少年、と名キャラを配するシリーズもの が多い太田さん。霞田志郎はそれら名キャラ達に埋もれてしまった感が若干ある 地味なシリーズだけれど、私はとても好きでした。シリーズの前半は都度都度完 結の単発の事件だった…

ブレイズメス1990 海堂尊

エキセントリックなある程度地位のある人が出て来て格下の主人公が振り回され て、でも最終的にはその人に傾倒していく、っていう海堂尊の基本パターンを踏 襲しています。 パターンが同じであれば善し悪しはそのエキセントリックな人に魅力があるやな しや…

しら菊的ミステリアワード2011

今年もまたこの季節がやって参りました 昨年末に来年はもっと読むぞって言ったのに後半びっくりするくらい読まなかっ た。それもこれもあのアニメにハマったせいなんですけど...。 殿堂入り 開かせていただき光栄です 皆川博子 まずは殿堂入りの皆川博子大先…

空を飛ぶための三つの動機 THANATOS 汀こるもの

間に完全犯罪研究部を挟んだため久々のタナトスシリーズ。ゆりっぺも嫌いじゃ ないけどやっぱりね!こるものさんは双子と高槻そして湊がいいなあ。面白かっ たです^^タイトルもとても好き。 遭難した双子がたどり着いた謎の施設で例によって次から次へと人…

天帝のあまかける墓姫 古野まほろ

あは、あはははは、あはーっはっはっは!!! これだけで感想やめようかと思ったんですが(たぶんファンにはこれでニュアン スは通じる)それもあんまりなので。 講談社ノベルスから幻冬舎へ移籍しての第一弾。天帝シリーズとしては第五弾と なる本書。一段…

ジェノサイド 高野和明

さーて!久々の読書感想は高野さんだ。図書館で予約して回って来るのを待つ間 に何か賞を穫った様でかなり話題になっていました。安定して面白い高野さん。 本作も濃くて読み応えのある大作。とても面白かったです。 本の楽しみ方は自由だし人それぞれだとは…

追憶のカシュガル 進々堂世界一周 島田荘司

うおおおおー。いいなあ、いいもの読んだー。 放浪の旅を終えたばかりの大学生御手洗。京都の美しい彼岸花や桜をバックに、 旅で見た日本に縁のある物語と光景を進々堂という喫茶店で出会った浪人生サト ルに向けて語ります。 淡々と語られる美しくも哀しい…

大絵画展 望月諒子

面白かった。^^美術業界を舞台に繰り広げられるコンゲーム。 ゴッホの絵画を巡って億単位のお金が飛び交う。当時は日本の企業が何億円で ゴッホ買いましたと言われてもふーん、ってだけでそれ以上何とも思わなかった けれどバブルって変な時代だったな。今…